京都に来てから気がついたらひと月をとっくに超えていた。生まれ育った街だけど、あらためて自然と街が融和している豊かさに東京に戻る気がとんとしない。友人宅の空き部屋をお借りしている。季節柄、5時半には陽の光とクマゼミの合唱で。雨の日は軒を打つ雨音で目がさめる。ぼくがベッドで伸びをする気配で、横のケンネルから犬も這い出して来て伸びをする。風呂を沸かす準備をして近くの賀茂川まで散歩に出かける。橋のたもとから川沿いの散歩道をゆくとジョギングをする若者に追い抜かれ、早足で歩く老夫婦、犬連れの人とすれ違い会釈する。足元を見ると石組みの土手の草むらで何かが動いた。黒い塊はツメクサを掻き分けてゆっくりと頭を出した。亀だ。これは面白い展開になるなと手提げ袋からスマホ取り出している間に、それは想像以上のスピードで歩を進め、なんと土手の石垣をブギーボードのようにして賀茂川に滑り降りたのである。亀がすーっと。賀茂川の土手をハワイのBigWaveのようにカメがスーッと。見せたかったなあ